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| 日本経済新聞(2003.09.05) |
「ニッポンの行列」(にぎわいのツボ7)1本に込められた物語
東京有楽町で開かれた焼酎の試飲会 |
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「味に感動がある」「カルチャーショックだ」グラスを口にした人たちが驚愕の声を漏らす。商品を説明する蔵元の周りが人だかりで熱気に包まれた。
8月28日、東京・有楽町で約3000人の飲食店関係者を集めた焼酎の試飲会が開催された。6万個のグラスを用意した酒販業界では異例の大規模イベントだ。手がけたのは三井物産九州支社。2001年の始めた「幻の焼酎ルネッサンス事業で発掘した九州の蔵元11社の35銘柄が一同に会した。
この銘柄の中には、生産が追いつかないほど注文が殺到する「行列のできる焼酎」がある。白金酒蔵(鹿児島県姶良町)の「石蔵」や壱岐焼酎協業組合(長崎県芦辺町)の「柚子小町」など。正真正銘の「幻の焼酎」
誕生させたのは、一人の商社マンだ――。
1999年、三井物産九州支社の中村鉄哉マネージャー(43)は、焼酎かす処理事業を商売にしようと白金酒蔵を訪ねた。熱心に説明する中村さんに、蔵元は「それより焼酎ば、売らんね」と芋焼酎を差し出す。ほんのり甘い。「これが焼酎?」うまさに身が震えた。
支社に帰り、企画書をまとめた。小さな焼酎藏が個性的な光を放つ。それを束にすれば、吸収全体が活性化する――。意欲に燃えて臨んだ東京本社の会議。「うちら100億からが商売だ」「焼酎はしょせん安酒。会社のイメージを損ねる」集中砲火を浴びた。
「これからは消費者の視点が大事」という九州支社長や本社の一部の支援を得て、事業は何とか進みだす。蔵元は本当に造りたい焼酎を造り、酒販店は売りたい酒を売る。消費者は本当に飲みたい焼酎を飲む。そんな単純な仕組みを作ろうと中村さんは蔵元や酒販店の呼びかけた。
壱岐の蔵元が応じた。麦焼酎発祥の地とされながら独特の臭みが敬遠され、飲みやすい大分産に押されっぱなしの壱岐焼酎。壱岐の華の長田浩義専務(43)は「造り手の個性を尊重し、焼酎文化の継承をうたう事業理念に苦境打開のヒントを得た」と話す。
「自分が売る商品に初めて愛着が持てた」福岡市のサンノー酒販の大木伸社長も事業に共感する一人だ。名だたる焼酎が覇を競う福岡市場で着実にファンを広げている。
現在、事業の年間売上高は6億円。2年後に20億円が目標だ。「幻の焼酎」の旗印が求心力となり、新しいうねりが生まれようとしている。 |
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