ルネサンス・プロジェクトは、地場に埋もれている幻の焼酎を発掘・復興・革新!


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MONOマガジン3月2日号(2006.02.16)
新連載第1回菱沼勇人の「焼酎道楽」
「工芸品」と「工業製品」の間にはメーカーとして決して踏み越えてはならない境界線がある。香蘭社は明治29年に宮内省御用達となった有田焼の銘陶である。ぬめるような青みのある白磁と独自の文様は容器という工業製品でありながら工芸品の領域にとどまり、ある種の存在感を主張している。なぜここまでの容器を選んだのか。

製造者の京屋酒造は宮崎でもっとも古い歴史を誇る手作り蔵である。土から作りこんだ自家栽培の甘藷を丁寧に皮むきし、麹は三角棚による手づくり仕込み、土に埋められた大甕では自然な対流により力強い「もろみ」が生まれる。NHK朝の連続TVドラマ「わかば」でロケ地に選ばれたと聞くが手作り蔵の製造現場は昭和初期のまま今ここにあるかのようである。

ヘベスロンドは酒税法上は「リキュール」に分類される。本格焼酎は通常原酒に加水し25度や30度などに度数調整されて甕詰めされるが果汁などの添加物があれば芋原料の焼酎でも本格焼酎とはならない。芋焼酎原酒にヘベス(平兵衛酢)という果実を漬け込み、あえて高いコストをかけてリキュールの領域に踏み込んだのが本製品である。伝統製法の本格焼酎の領域から工業製品乱立のリキュールのカテゴリーに踏み込んだものであるが、アプローチはまさに伝統製法、リキュールの超高級品である。

檜のカウンターに座り、京のおばんざいを楽しもうというような店で、さりげなく山椒が白磁に生けてある姿などを想像する。最後に出された炊き立てご飯の上にのったちりめん山椒、傍らにはこの一杯。ロックもいいがクラッシュアイス割りもお薦めしたい。兄弟リキュールのヘベスクール(3150円)はロンドンの高級焼酎BAR「ROCCA]やニューヨークのレストランでも人気だという。
モノ・マガジン掲載
「ヘベスロンド」京屋酒造、0987-22-2002(宮崎・日南)
リキュール類・30度・5250円

ぬめるような青みのある白磁文様は
「麻の葉」飲み干した後、花瓶としても使用できる。
プロフィール/菱沼 勇人

オーバルワン代表取締役。SSI認定酒匠、きき酒師、焼酎アドバイザー、SSI東京支部役員。1961年神奈川県生まれ、慶應義塾大学在学中の84年に学生ベンチャーで起業、98年に独立創業し現職。情報通信など大手企業の商品・サービス開発や事業開発に20年以上従事、数多くのヒット商品を手掛ける。毎日数万行の消費者購買履歴をネット経由で取り寄せ、販売事実を基礎にした現場改善で繁盛店づくり、ヒット商品づくりに貢献する。ヒト、モノ、カネ、ITにプラスして地場産業など日本伝統文化の「イキ」を追及する。日本再生の現場主義経営者。

酒匠(さかしょう:Master of SAKE Sommelier)とは「きき酒師」の上位資格、目指すのは究極のテイスター。日本酒の酒米品種もきき分ける嗅覚を持つ。SSI認定。