ルネサンス・プロジェクトは、地場に埋もれている幻の焼酎を発掘・復興・革新!


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NYジャピオン396号(2007.03.16〜22)
酒匠 菱沼勇人の のんだくれ日記
NYジャピオン
壷中の玉響櫻の郷醸造合名会社(宮崎、北郷町)/本格芋焼酎25度
甕貯蔵4年の芋焼酎。高温で焼き上げた甕には遠赤外線効果がある上、微細な孔から空気が通ること、いわゆる「甕の呼吸」により熟成が進むという。NYでも販売されている。原材料:甘藷、米麹
桜前線、東京の開花予想は例年よりも10日も早く3月18日とのこと。この号が出ている頃にはすでに満開かもしれない。

宮崎の桜の名所、北郷にある「櫻の郷醸造」は文字通り川辺の桜並木に囲まれた焼酎蔵である。この蔵の社長、寺田徳男氏は淀川製鋼所(ヨドコウ)から30代で焼酎づくりに転進した稀代の経営者。井上酒造を県下有数2万石以上の焼酎蔵に育て上げ93年には姉妹会社の櫻の郷醸造を起業、98年から長期貯蔵の芋焼酎に本格的に取り組み始めた。中国から500リットルの大甕を大量に輸入し、蒸留した焼酎のほとんどを甕貯蔵に割りあてたという。当時税務署から原料買い付け量と焼酎出荷量のバランスが極端に悪いと指摘を受け、倉庫に整然と並ぶ5000基の甕を見せたというエピソードもある。

その5年後には本格的な焼酎ブーム。県下の競合各社の焼酎在庫が底をつくなか、大量に仕込んだ貯蔵酒の封印を解き、市場浸透に成功させた。これぞ先見力である。

通常の芋焼酎は3ヶ月から6ヶ月程度タンクで寝かせ、出荷することがほとんどである。長期貯蔵は当時としては珍しく、芋焼酎は新酒で芋の香りを楽しむものだというのが業界常識ともなっていた。寺田社長の非常識な挑戦は昭和50年代に真っ先に取り組んだ「減圧蒸留」以来、脈々と続いている。柔術家の容姿から想像するのは「豪放磊落」だが、経営者としては誰よりも繊細。進取の気性と先見力で生まれた焼酎の味わい、今宵の一献にオススメである。
プロフィール/菱沼 勇人

1961年生まれ。オーバルワン株式会社代表取締役。SSI認定酒匠、きき酒師、焼酎アドバイザー、SSI東京支部役員。学生ベンチャーで起業、98年に独立創業し現職。ヒト、モノ、カネ、ITにプラスして地場産業など日本伝統文化の「イキ」を追求する。日本再生の現場主義経営者。

酒匠(さかしょう:Master of SAKE Sommelier)とは「きき酒師」の上位資格、目指すのは究極のテイスター。日本酒の酒米品種もきき分ける嗅覚を持つ。SSI認定。