ルネサンス・プロジェクトは、地場に埋もれている幻の焼酎を発掘・復興・革新!


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モノマガジン562号(2007.06.16)
酒匠 菱沼 勇人の焼酎道
モノマガジン,紫魂伝
紫魂傳櫻の郷醸造合名会社(宮崎)/本格焼芋焼酎25度/2,100円(税別)

「焼き芋」と「蒸かし芋」を比べてどちらが美味しいかは誰もが体験でわかっている。でんぷんそれ自体はベータでんぷんという状態で素材として存在し、熱を加えてアルファ化しないと体内に取り込むことはできない。さらにいえば甘藷(サツマイモ)が甘いと感じるのはでんぷんを分解して糖質に変えるアミラーゼという酵素の力が大きい。

アルファ化とアミラーゼの働きを最大限にすることが芋の甘みを決定付けるわけで、そのためにもっとも適しているのが「蒸かし」ではなく「焼き」である。アミラーゼの理想的な環境は50度というから、かなり低い温度でじっくりと加熱される落ち葉焚きの炭焼などが一番である。

通常の芋焼酎原料はスチームで「蒸し」加工される。蒸気で加工するため水分含有量は多く、釜の中の上下、中心からの位置で水分量、加熱温度が異なる。仕込みの理想をいえば芋の両端をカットするのはもちろん、傷んだ部分や皮を厚めに剥き、炭火の遠赤外線で時間をかけて加熱、アルファ化はもちろんであるがアミラーゼの機能を最大限に働かせて芋の甘みを引き出すことである。

発酵過程においては穀物のでんぷんを麹の力で糖化し、糖質を酵母の力でアルコール分解する。ゆえに良質な糖質が多く含まれるということは力強い発酵によって味わいは濃く、骨太になる。

今回紹介する「紫魂傳」は種子島産の紫芋を炭火で焼き芋加工したものである。ついにここまでやる芋焼酎が出てきたのだ。白麹、常圧蒸留、甕つぼ仕込み。芋の甘みを極限まで楽しめる焼酎は年間生産量3万本とのこと。じんわりと広がることを願うばかりである。

写真1)「種子島ろまん」の皮は白く、中心は濃厚な紫色である。ポリフェノールたっぷりの健康食品。食べてもとても甘く美味しい。

写真2)仕込み中のもろみ
この色には驚かされる。香りにも強烈な甘みがあり焼き芋のこってりとした旨みを連想させる。

写真3)原料の焼き芋加工。炭の状態をチェックしながら1時間ほどかけてじっくりと加工される。

プロファイル/菱沼 勇人

オーバルワン株式会社代表取締役。SSI認定酒匠(さかしょう)、きき酒師、焼酎アドバイザー、SSI東京支部役員。1961年神奈川県生まれ。
慶応義塾大学在学中の84年に学生ベンチャーで起業、98年に独立創業し現職。情報通信など大手企業の商品・サービス開発や事業開発に20年以上従事、数多くのヒット商品を手掛ける。ヒト、モノ、カネ、ITにプラスして地場産業など日本伝統文化の「イキ」を追求する。日本再生の現場主義経営者。

酒匠(さかしょう:Master of SAKE Sommelier)とは「きき酒師」の上位資格、目指すのは究極のテイスター。日本酒の酒米品種もきき分ける嗅覚を持つ。SSI認定。