ルネサンス・プロジェクトは、地場に埋もれている幻の焼酎を発掘・復興・革新!


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モノマガジン564号(2007.07.16)
酒匠 菱沼 勇人の焼酎道

monoマガジン
壷中の玉響櫻の郷醸造合名会社(宮崎・北郷町)
本格焼芋焼酎25度/2,100円(税別)

先月はシンガポールに出張し「SATSUMA」という焼酎ダイニングバーで「デギュスタシオン・ディナー」の解説をする機会を得た。

“デギュスタシオン”とは料理とお酒をゆったりと楽しむ会で、当然のことながら特定の銘柄と料理とのマリアージュに期待が高まる。シンガポールでは初の焼酎をテーマにした会となり60名満席のお客様を前に解説することになった。

ウェルカムドリンクはシャンパンタイプのカボスのリキュール。フリーザーでキンキンに冷やしたリキュールを4:6でソーダで割って甘さを調整した。その後前菜から9品目の料理と7銘柄の相性を紹介したが、中でももっともマリアージュを感じたのが今回紹介する芋焼酎と「豚バラの梅煮」であった。

そもそも料理とあわせるには焼酎はアルコール度数も個性も強すぎることが多い。バランスを取るためには加水して調整する必要がある。提供温度帯や割り方は様々で、それぞれの料理に合わせて原料種別や割り方、提供温度帯を工夫することになる。選んだ料理は敢えてワインにあわせ難い料理ばかりにしてなぜ焼酎に合うのかを解説した。

芋焼酎は一般にアフターフレーバーが長く、常圧蒸留のタイプは個性が強く料理との相性が非常に難しい。しかしながら相性が合えば余韻の長さが面白い変化をもたらす。芋の香りが花や果実のようなフレーバーになるから不思議である。梅煮のようなダシの味わいに同調し、味わいがふくらむ。こちらはめったにないマリアージュ体験であった。

今月はニューヨークの「酒蔵」「Sachiko’s On Clinton」で同様のイベントを計画している。少人数で行うグルメ会であるが毎回新しい発見がありなかなかに楽しい。

写真1)2007年ブリュッセルのiTQiで最高位の三ツ星を受賞した甕貯蔵4年の本格芋焼酎

写真2)常圧蒸留した原酒を4年間甕で貯蔵する。甕の遠赤外線効果と微細な孔による甕の呼吸により原酒はまろやかに、甕に含まれるミネラルなどにより味わいは複雑性をもつ。

写真3)シンガポールのダイニングレストラン「SATSUMA」は日系ではないチャイニーズシンガポーリアンによる経営。日本語を話すスタッフばかりだが日系は一人もいない。ロバートソンキー周辺は日本食レストランばかりでまるで中華系による和食テーマパークのよう。

写真4)「SATSUMA」ディナー風景。お客様は白人、現地の中華系(華僑)が多い。

プロファイル/菱沼 勇人

オーバルワン株式会社代表取締役。SSI認定酒匠(さかしょう)、きき酒師、焼酎アドバイザー、SSI東京支部役員。1961年神奈川県生まれ。
慶応義塾大学在学中の84年に学生ベンチャーで起業、98年に独立創業し現職。情報通信など大手企業の商品・サービス開発や事業開発に20年以上従事、数多くのヒット商品を手掛ける。ヒト、モノ、カネ、ITにプラスして地場産業など日本伝統文化の「イキ」を追求する。日本再生の現場主義経営者。

酒匠(さかしょう:Master of SAKE Sommelier)とは「きき酒師」の上位資格、目指すのは究極のテイスター。日本酒の酒米品種もきき分ける嗅覚を持つ。SSI認定。