ルネサンス・プロジェクトは、地場に埋もれている幻の焼酎を発掘・復興・革新!


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NYジャピオン418号(2007.8.17〜8.23)
酒匠 菱沼勇人の のんだくれ日記
NYジャピオン
今宵の逸品「星河黎明」/本格麦焼酎40度
井上酒造(宮崎、南郷町)/原材料:麦、麦麹、デーツ、米麹

榎原湧水により仕込み、原酒を樫樽で7〜8年貯蔵。名水で仕込み、瓶詰め水を一滴も加えずに仕上げた極上の原酒。

「水」は焼酎にとってまさに命である。醸造工程における原料としての水ばかりでなく、冷却水や加熱用スチーム、瓶詰め水、洗浄水など1リットルの焼酎を作るために20倍以上の水を使うともいわれている。様々な蔵元を訪問するたびに水源を見学するが、土地によって硬度や味わい、取水方法など様々な個性がある。

水の硬度は、醸造工程においてはある程度のミネラル分が含まれているものが望ましく、瓶詰め水においては軟水がよいと言われている。

先週、宮崎で伺った井上酒造は「宮崎の名水21選」に選ばれた榎原(よわら)湧水を敷地内に持ち、NHK朝の連続TVドラマ「わかば」で、水源のロケ地に選ばれた蔵だ。また、先月訪問した青梅の清酒蔵小澤酒造は、横井戸を持つ珍しい蔵で、防空壕のようなトンネルの奥にある水源はさらに奥へと続き、とても神秘的であった。屋久島の水のうまさも記憶に残る。


印象的な焼酎をつくる蔵の水はどれもとても甘い。現在ではベトナムや中国でも焼酎が作られるようになったが、日本の蔵元の財産である「水」だけは真似ることができない。海外工場では冷却用に使えないほど水温が高く、濾過しなければ瓶詰め水にも使えない場合もある。


2、3日前から水で割った芋焼酎が甘くなるのも水のマジックである。1%にも満たない微量成分が水との相性によって変化する。同じ銘柄でも割り方、温度帯で印象が変わる。水に始まり水に終わる焼酎の一生は、まさに高温多湿の日本の風土に根ざしている。

プロファイル/菱沼 勇人(ひしぬまはやと)

1961年生まれ。オーバルワン株式会社代表取締役。SSI認定酒匠(さかしょう)、きき酒師、焼酎アドバイザー、SSI東京支部役員。学生ベンチャーで起業。98年に独立創業し現職。ヒト、モノ、カネ、ITにプラスして地場産業など日本伝統の「イキ」を追求する。日本再生の現場主義経営者。

酒匠(さかしょう:Master of SAKE Sommelier)とは「きき酒師」の上位資格、目指すのは究極のテイスター。日本酒の酒米品種もきき分ける嗅覚を持つ。SSI認定。