ルネサンス・プロジェクトは、地場に埋もれている幻の焼酎を発掘・復興・革新!


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モノマガジン569号(2007.10.02)
酒匠 菱沼 勇人の焼酎道
MONOマガジン掲載
泰斗の鳳駕(たいとのほうが)京屋酒造(宮崎)/本格蕎麦焼酎25度
世に蕎麦好きは数多いが名人の意気込みでそば焼酎に挑戦した蔵元がある。「三たて(挽きたて、打ちたて、茹でたて)」ではないが「国産原料」「長期発酵」「甕つぼ仕込み」、そば焼酎でこの条件を満たす銘柄を私はこれ以外に知らない。「泰斗(たいと)」とはその道の達人のこと。そば焼酎の名人の域を目指し、あらゆる面で最高の品質を求めたものがこの「泰斗の鳳駕」である。

蕎麦の実の輸入価格は中国産でキロ60円、米国産でキロ100円といわれる。国内産を用いればキロ800円にもなるという。中国産と比較した価格差は10倍以上。大豆、胡麻などと同様に圧倒的な品質差があるのだ。「泰斗の鳳駕」は国内産、阿蘇や長野産の蕎麦の実を使用しており、いよいよ来年からは自社農場で無農薬栽培した蕎麦を使うという。

つくりにおいても蕎麦は厄介である。芋焼酎なら7〜10日間ほどの二次発酵が蕎麦であれば14日はかかる。生産効率が悪くおのずと生産量は限られてくる。京屋酒造は1834年創業、宮崎でもっとも古い歴史を誇る蔵である。伝統の大甕は800キロリットルほどあり、土に埋めた仕込み甕はステンレスに比較して発酵温度は高く、自然な対流で力強く発酵が進む。

飲み口はあくまでも柔らかく、香りの個性は独特の厚みがあり、ディルのような青々しいハーブ、白檀など香木の香り、金木犀の花の香りをイメージする。余韻は比較的長く、鼻腔に膨らむ香りはまさに蕎麦の甘み。ヘーゼルナッツやアーモンドなどの香りも。ついつい口角があがってしまう。蕎麦湯割りのような飲み方もいいが、きりりとロックや「生(き)」でやりたい本格蕎麦焼酎である。

写真1)宮崎県産の蕎麦の種。今年試験栽培し種をとった。来年は自家農場で無農薬で栽培した蕎麦を使うという。

写真2)蔵の設備にはステンレスやホーローの発酵タンクは皆無である。すべての製品はこの大甕からつくりだされる。力強く発酵が進む。

写真3)ワインライターのデニス・ギャスティン氏らとの試飲風景。「泰斗の鳳駕」は味わい、香りともすべて5点満点の最上級のものであった。

プロフィール/菱沼 勇人

オーバルワン代表取締役。SSI認定酒匠、日本酒学講師、きき酒師、焼酎アドバイザー、SSI東京支部役員。1961年神奈川県生まれ。慶応義塾大学在学中の84年に学生ベンチャーで起業、98年に独立創業し現職。情報通信など大手企業の商品・サービス開発や事業開発に20年以上従事、数多くのヒット商品を手掛ける。ヒト、モノ、カネ、ITにプラスして地場産業など日本伝統文化の「イキ」を追求する。日本再生の現場主義経営者。

酒匠(さかしょう:Master of SAKE Sommelier)とは「きき酒師」の上位資格、目指すのは究極のテイスター。日本酒の酒米品種もきき分ける嗅覚を持つ。SSI認定。