ルネサンス・プロジェクトは、地場に埋もれている幻の焼酎を発掘・復興・革新!


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■NYジャピオン432号(2007.11.23〜11.29)
酒匠 菱沼勇人の のんだくれ日記
今宵の逸品「鐵龍」錦灘酒造(鹿児島・霧島)/本格芋焼酎35度/芋・米麹
NYジャピオン,鐵龍
かぶと式蒸留器を復活させた「チンタラリ」で知られる蔵元の芋焼酎。鋼のような力強さを持つ常圧蒸留ならではの味わい。
蒸留酒である本格焼酎は、当然のことながら蒸留の工程に様々な工夫がある。本格焼酎はもろみに含まれるアルコールを加熱することで気化させ、急激に冷却して液状化した蒸留原酒を得る。

ポットスティル方式の蒸留器にも様々な形状があるが、もっとも大きな違いは「減圧蒸留」と「常圧蒸留」の2方式である。減圧蒸留とはポットスティルの内部の空気を抜き(減圧し)蒸留するため、通常のアルコールの揮発温度よりも低温で蒸留が始まる。富士山の頂上でお湯を沸かすようなもので、もろみの温度も低いため焦げ臭などがなく、すっきりと上品でスムーズな酒質となる。常圧蒸留は減圧せず、通常の大気圧で蒸留するため、沸点は70度以上となり、力強くしっかりと腰のある味わいの濃い酒質となる。

最近では常圧でも焦げ臭のつきにくい木桶の蒸留器を復活させる蔵や、「かぶと式」といわれる直火式の蒸留器を使うところもある。木桶式は桶職人も少なく、メンテナンスが必要で寿命も短いため、古来の味わいを復活させるためには多大な労力のいる方式である。

実際に蔵を訪問して驚くのは、方式だけではなくサイズの違いである。小さな蒸留器ほど味わい深いのは気のせいでもなさそうだ。「わたり」と呼ばれる上部構造に工夫のあるものや素材自体を錫にしたものなど、隠れた工夫の宝庫である。

「チンタラ」の語源はかぶと式蒸留器から、わずかばかりの原酒がぽたり、ぽたりと落ちる様子からきていると聞く。一升瓶1本分をとるのに1日かかるというから現代人にはそぐわないかもすれない。

菱沼 勇人(ひしぬまはやと)

1961年生まれ。オーバルワン株式会社代表取締役。SSI認定酒匠(さかしょう)、きき酒師、焼酎アドバイザー、SSI東京支部役員。学生ベンチャーで起業。98年に独立創業し現職。ヒト、モノ、カネ、ITにプラスして地場産業など日本伝統の「イキ」を追求する。日本再生の現場主義経営者。

酒匠(さかしょう:Master of SAKE Sommelier)とは「きき酒師」の上位資格、目指すのは究極のテイスター。日本酒の酒米品種もきき分ける嗅覚を持つ。SSI認定。