エルネオス(2008.3月1日号)

■ 地域の醸造メーカーが連携し地域発の「世界の焼酎」に挑戦

雲南市は二〇〇四年十一月、旧吉田村など六町村が合併して生まれたが、同社は一九八五年、旧吉田村の産業活性化のため、村、商工会、森林組合などの団体と、多数村民の共同出資で設立された。全国でも先駆的な第三セクターであり、地域そのものを全国ブランドにした好例だ。
事業内容の中心は農産加工品の製造・販売だが、原料は地元の契約農家や県内産・国産から厳選して使用。特に化学調味料など添加物を一切加えない調味料「卵かけご飯醤油・おたまはん」は、地域ブランドを社会現象にまでした。嗜好により関東風、関西風と細分化を図っているのも、キメ細かな商品開発だ。さらにイベント「日本たまごかけごはんシンポジウム」開催が地域ブランドに推進力を与えている。
地域ブランドの商品開発について同社の高岡裕司氏はこう言う。
「原料が地域の農産物であり、地域の特色を的確に表現しているのは当然ですが、お客様のニーズを満足させないと成り立たない。そうした商品を生み出すには、豊かな創造力と強い行動力が必要です。おたまはんも、その両方があってこそ誕生しました。地域ブランドとは、単に地域発の売れるモノづくりではなく、商品が地域と作り手の人を語るモノでなくてはならないと思います」
同社の開発商品は、醤油ベースであっさり味の「焼肉のたれ」、米作りに絶好の地の利を活かした、米を使った「杵つき餅」、「おにぎりみそ」、「しょうがドレッシング」、さらに季節商品など多彩だ。購買者にはリピーターが多いが、成功の要因の一つは、ネット販売の「だんだん市場」とメルマガ発信だろう。地域ブランドのファン拡大戦略といっていい。
同社には農産加工部のほかに、町の上水道の整備・簡易水道管理など住民サービスを行う水道部、また地域住民の足となる市民バスの運転、くつろぎの掛け流しの宿「清嵐荘」の運営などの業務がある。従業員は六十名だが、地域の雇用開発の力になっているのも確かだ。
旧吉田村深野地区の神楽保存会は大正前期に姿を消したが、一九八六年に保存会が結成された。会は地元内外のイベントに参加、二度の海外公演も行った。同社ではホームページの「ふるさと村便り」やメルマガで情報を発信、地域自体のブランド化に成功している。高岡氏は今後の事業展開をこう語る。
「当地域は公共交通や道路などアクセスが悪く、足を運んでいただけない。商品を通じた地域PRと自社ホームページでPRの結果“よしだむら”への興味から訪れるお客様が少しずつ増えてきました。農業体験などのメニューも整え、都市と農村の交流の場の拡大に努めたい。都市と地域の住民の理解が深まり、都市と地方の格差解消になれば嬉しいですね」

醸造メーカーと地域密着型で連携、積極的な市場開拓で焼酎の“国際ブランド”化を目指す(株)ルネサンス・プロジェクト(福岡市中央区/中村鉄哉社長)のビジネス展開は、発想転換型の経営戦略として注目される。
同社の設立は二〇〇六年三月だが、「焼酎ルネサンス・プロジェクト」の端緒は、商社マンの中村社長が東京から福岡に赴任、焼酎カスの廃液処理プロジェクト担当したことだ。九州の醸造元からは「原料カス処理プラントより焼酎を売ってくれ」と要請された。